〈とりびあ〉妊婦搬送に「産急車」 湯河原町が全国初分娩施設なし
2017年02月21日更新
隣町の産科医でも安心を−。湯河原町は15日、妊婦専用の救急車「産急車」(仮称)を導入すると発表した。町内に分娩(ぶんべん)施設がない現状を踏まえ、近隣エリアの産科医療機関への搬送を想定。ハイリスク妊婦を救急車で搬送するケースはあるが、妊婦専用車両の導入は全国初という。利用料は無料で、2018年4月の運用開始を目指す。 町の年間出生者数は100人前後で推移。11年以降は産科医療機関がなく、妊婦は小田原市や静岡県熱海市などへ長時間かけて通っている。産急車の導入は、妊婦の不安解消が狙い。血圧計や簡易心電計、お産セットなどを備えたワンボックスタイプ1台を導入する見通しで、緊急車両登録も目指す。 利用する妊婦は、出産予定日やかかりつけ医などを町保健センターに事前登録する。破水や陣痛といった緊急時をはじめ出産前の入院でも、119番通報を受けて搬送する仕組みだ。 対象は湯河原、真鶴両町民のほか、里帰り出産で滞在中の妊婦で年間約30人の利用を見込む。搬送エリアは藤沢市や静岡県三島市なども検討しており、運用規定は今後決めていく。 17年度当初予算案に1千万円を計上。冨田幸宏町長は「保健センターなどでPRし、妊婦の安心につなげたい」とし、子どもを安心して産み育てられる町を目指すと強調した。