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〈とりびあ〉消防士自殺、パワハラか 遺族が労災申請、14年に酒田所属

2016年09月20日更新

酒田地区広域行政組合消防本部に所属していた男性消防士=当時(21)=が2014年6月、遺書を残し自殺していたことが3日、関係者への取材で分かった。遺族は「パワハラをうかがわせる内容だった」と主張。同本部は「いじめやパワハラは確認できなかった」とする調査結果をまとめた。遺族はこれを不服とし、公務員の労災を扱う地方公務員災害補償基金県支部(地方共同法人)に労災申請。現在、審査が続いている。

本部「確認できず」
複数の関係者によると、男性は同月2日午後4時半前、庄内町の最上川河川敷で、ロープで首をつった状態で見つかった。心肺停止の状態で、搬送先の病院で死亡が確認された。

男性は消防救助の技術を競う全国大会の出場を目指すメンバーで、この日も訓練に参加する予定だった。午前8時半ごろに車で自宅を出たが、会場の酒田消防署西分署に現れず、家族と消防が行方を捜していた。

男性は遺書を車内に残していた。職場と家族に謝意を伝える一方、消防本部に宛てて「めいわくをかけてまで生きる価値は私にはない」などと記載。「自分のような技術、体力、気持ちがない人間は役に立たない」とも書いていた。

訓練中に、「辞めてしまえ」「お前は必要ない」などと男性が指導役から怒鳴られていたことを、遺族は弔問に来た関係者から聞いた。遺族によると遺書の文面は訓練中に男性が言われていた文言と重なるという。遺族は男性がこうしたパワハラを受け、精神的に追い込まれた可能性が高いとみている。

同本部によると、比較的体力が劣っていた男性は訓練中、疲れからミスすることが多かった。補助員だった前年は率先して会話し、場を和ませる人柄だったが、この年は口数が減っていた。

同本部が直後に行った調査に訓練の指導役は「(男性から)つらいとか辞めたいという言葉はなかった」「落ち込んだ様子はなかった」と回答。自殺に結び付くような具体的な行為は確認されなかったという。指導方法について同本部は「事故につながるような行動には声も大きくなるが、個人を否定する言葉は用いていない」としている。

同本部は15年4月、パワハラは確認できなかったとし、第三者委員会の設置は不要という考えを遺族に示した。遺族は同5月、再調査を求めて異議を申し立てたが結論は変わらなかった。

遺族はパワハラが自殺を招いたとして公務労災を申請している。遺族は「補償が目的ではない。息子が命を賭して訴えたことを明らかにしたい」としている。

「なんの役にも…」本部宛て遺書
「この結論に行きつくまで、とても時間をかけて、とても迷いました。ですが、自分のような技術、体力、気持ちがないような人間はここにいても、なんの役にも立たないと思いました」

消防本部に宛てた遺書に男性はそう書いた。「だれかにめいわくをかけてまで生きる価値は私にはありません。なので死にます」。遠回しな表現で、死を選んだ理由を記した。

所属していた分署には「もっともっと一緒に仕事がしたかったです」と書いた。子どもの頃から消防士を志していた。高校では採用試験に向けて1年生の頃から勉強した。採用試験に合格したときは家族全員で喜んだ。「明るく優しく、争いを好まない子だった」と母親は振り返る。

2014年6月2日の朝、男性はいつものように自宅を出た。車に向かう背中に、母親が「気を付けて」と声を掛けると、「おう」と背中で返事をして、右手を挙げた。

家族に向けた遺書で、男性は先立つ親不孝を謝罪した。両親らの健康を気遣い、思いをつづった。「私はもう疲れました。でも、生まれ変わってもまた、この家族で一緒にいたい」

http://yamagata-np.jp/news/201608/04/kj_2016080400068.php