〈とりびあ〉自衛隊の救急救命士処置拡大かも・・・
2016年05月01日更新
自衛隊、有事の治療拡充を検討 戦傷リスクに現実味
2016年4月4日 朝刊
防衛省が、有事の際に最前線で負傷した自衛隊員の治療の拡充策について、有識者会議を設置して
検討を進めている。応急処置で救命の可能性が高まるとして、医師免許はないが、専門的な救護に関
する講習を受けた隊員も現場で気管切開など医療行為をできるようにする方向で、法改正を視野に入れ
議論している。
任務を拡大し、隊員のリスクが高まるとの懸念もある安全保障関連法が三月二十九日に施行された。
同省は「安保法とは無関係」とするが、識者からは「安保法によって戦傷のリスクが現実味を帯び、
急きょ対応を迫られているのは明らかだ」との指摘も出ている。
有識者会議が設置されたのは、自民、公明両党間で安保法の法案化作業が大詰めを迎えていた昨年四月。
会議のメンバーは医師、救急救命士団体の代表、自衛官OBらで、これまで四回の会合が開かれた。
拡充策の案は、救急救命士と准看護師の両方の資格を持つ隊員に講習を受けさせ、「第一線救護衛生員」
(仮称)に指定。大量出血や、顔面の外傷・熱傷による気道閉塞(へいそく)、胸部外傷による緊張性気胸
といった致死性の高い状態に対応するため(1)出血時の骨髄への輸液投与(2)気道確保のための気管切開
(3)胸にたまった空気や水を抜く胸腔穿刺(きょうくうせんし)-など医師にしか許されない医療行為を
できるようにする。
現在、両資格を持つ隊員は約八百人。防衛省は自衛隊法の改正で実現を目指す考えだ。
防衛省は「国内有事を想定したもの。安保法制定とは別に、以前から省内で検討の必要性が言われていた」
と説明する。
しかし軍事評論家の前田哲男さんは「駆け付け警護や他国軍への後方支援など、危険性の高い任務を見据えた
動きだろう。政府が隊員のリスクは高くならないと言う裏で、リスクを意識した議論が進んでいる。
こういう現実に直面することがもっと広く知られるべきだ」と話した。
【資料4】第一線救護衛生員に対する教育について (PDF:619KB)