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〈とりびあ〉救急車に医師同乗、医療行為で救命率向上 西入間消防と埼玉医大病院

2016年06月05日更新

本来は消防署などで待機する救急車を病院で待機させ、急病患者の容態に応じて医師らを乗せて出動する「派遣型救急ワークステーション」が毛呂山町の埼玉医科大学病院に設置され、運営を始めている。病院には西入間広域消防組合の救急隊員が待機。医師が同乗することで現場での医療行為も可能となり、救命率の向上が期待される。

「ゴルフ場でプレー中に男性が倒れた」。5月中旬、1本の通報があった。なぜ倒れたのか。脳卒中か、心筋梗塞か、別の何かか―。詳しい状態が判然としない中、埼玉医大病院から出動する救急車に医師が同乗。現場に向かった。

男性は軽い熱中症と診断され、病院に搬送後しばらくして帰宅。大事には至らなかった。「結果的には生死を分けるようなものではなかったが、場合によっては死に至る危険性もある。医師の目で早急に診る必要があった」。同病院急患センターERセンター長の芳賀佳之医師は振り返る。

病院には午前9時~午後4時まで、救急隊員3人と救急車1台が待機。出動指令が出た後、必要に応じて医師に出動を要請する。医師はいつでも出動できるような態勢を組んでおり、出動時には「救急車搭乗医師」と記された腕章を着け、救急隊員たちと同じ感染防止の服を着て現場に向かう。

救急隊員は現場でできる行為が限られているため、西入間広域消防組合の神山和之次長は「医師が同乗することに勝るものはない。救命率の向上につながり、地域住民へ良質な救急医療が提供できる」と強調する。

メリットはそれだけにとどまらず、隊員らは通常は病院内で行われる診察の様子などを見ることができ、最新の医療技術や患者の接し方などを学べる。さらに、医師と日常的にコミュニケーションが取れることから、「顔の見える関係ができ、患者を受け入れる際の情報伝達や指示がスムーズにできる」(芳賀医師)ことも大きい。

4月の運営開始から2カ月で、ワークステーションから救急車が出動したのは45件。そのうち10件で医師が同乗した。「空振りでもいいから、医師の同乗回数をもっと増やしてもいい」と言うほど、芳賀医師はメリットを感じている。県内では救急患者の「たらい回し」が大きな問題になったが、「それもいくらか解消されるのではないか」と期待する。

県消防防災課や同組合によると、県内で救急ワークステーションを設置しているのは戸田市の戸田中央総合病院などわずかしかない。芳賀医師は課題の一つに「病院内の医師数に余裕がなければ難しい」と指摘している。

病院で待機している救急車内で、対応状況などを確認する医師(右)と救急隊員=毛呂山町の埼玉医科大学病院